まんなかで・・・

サラサラと流れる川のごとく中庸で生きていけたらいいですね

この本ご存知の方、いらっしゃいますか?

ちょうど一ヶ月ほど前に

私の大切な「指輪物語」と題した記事を書きました。

 

私にとっては必ず何年かに一度は全巻を読み直すという程の

大切な本ではあるのですが、それに負けないくらいに

大好きで影響を受けた本があります。

 

この本のことを書かなければ、という思いが日毎に強くなって来て

とうとうこの日がやってきました。

皆さまにとっては、ただの知らない本になるのかもしれませんが

お付き合いいただけたら嬉しいです。

 

本の名前は『アーサー・ランサム全集』

12冊のシリーズ本となっています。

シリーズとはいっても、それぞれが独立した物語となっており

関連性はありますが「指輪物語」のように続きものとはなっていません。

登場人物(メインは子どもたち)は同じときもあるし、違うこともあります。

 

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児童書に分類され、私は中学生のときに図書室で出会いました。

主な舞台は、イギリスの北西部に位置する湖水地方です。

この地方はピーターラビットが誕生したことでも有名ですし

ワーズワースの生家もあることで、よくテレビでも紹介されます。

 

湖水地方(それ以外の舞台もあります)で少年少女たちが、休暇を過ごし

小帆船に乗ったり、キャンプをしたり、山歩きをしたりと

1930年代に書かれた「アウトドア」の冒険物、となっていますが

冒険といっても、それは軽く楽しめる程度のものです。

 

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(私が持っているのは、何十年も前に出版されたもので、かなり傷んでおり、紙も黄ばんでいます )

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(挿絵もランサムの手によるものです)

 

時代は古いのでしょうけど、今読んでも少しも古臭さは感じられません。

休暇の開放感とアウトドアの楽しさを、現代のお話として

存分に味わえる内容になっています。

  

本の中では、さすがイギリスと感じるシーンがよく出てきます。

それは子どもたちが必ずどこにいても「お茶を飲む」時間があることです。

グラグラに沸かしたお湯で淹れる紅茶に、必ず冷えた牛乳をたっぷり!

キャンプでも、帆船に乗っていても、山歩きをしていてもです。

 

(ちなみに日本の紅茶専門店では紅茶が冷めないようにと

温めたミルクを提供する場合があるようですが

本場の紅茶に温めたミルクはありえません。)

 

中学生のときに夢中になって何度もこの12冊の本を読み

架空の物語と解っていても

本の中の子どもたちはリアルに存在していて

何度も彼らと一緒に船に乗ったり、キャンプを楽しむ妄想に浸りました。

 

好きな本から大きな影響を受けることは、誰もがあると思います。

 

たとえば「赤毛のアン」シリーズを読んだ時には

カナダのプリンスエドワード島に行ってみたくなり

「シャーロック・ホームズ」を読んだあとには

ロンドンのベーカー街に行って、ホームズに会いたくなり

森村桂の「天国にいちばん近い島」を読んだら

ニューカレドニアに行きたくなり、と。

 

でも、「アーサー・ランサム」の本を読んだときは

それまでに思ったような「行きたいなあ」という淡い夢ではなく

『行かなければならない!』という決心にも似たものでした。

 

それから何十年もの月日が流れても

私の心の奥に灯った火、湖水地方に行くという思いは

ずっと消えることはありませんでした。

 

そしてとうとう、その思いが具体的に動き出す日がやってきました。

子育ても一段落したある日のことでした。

 

友人とお茶していたときに、ふと私がずっとイギリスの湖水地方に

行きたいと思っている話になりました。

すると、友人もあの有名な『嵐が丘』の舞台になっている

イギリスの荒野に行ってみたいと思っていた、と言うのです。

 

まさかこんな流れになるとは!

すぐに話は決まり、よし一緒にイギリスに行こう!

行くのは3年後、それまでに資金を貯めよう、ということになり

目標金額も設定しました。

 

私は毎月コツコツと旅費としての貯金を始め

家族にも了解をとりました。

我が家は夫も子どもたちも、やりたいことは認めてくれる方だったので

両手を挙げて賛成してくれました。

 

会社に申請した1週間の休暇も、お世話になっていた女性の上司が

「harumiさん、たまには自分へのご褒美も必要ですよ」と快諾してくれ

お餞別までいただいたほどです。

そういう意味では、とても恵まれていたことに感謝しなければなりません。

 

そして予定通り目標金額も達成し

イギリスの湖水地方に行くという思いを果たすことが出来ました。

中学生の頃必ず行く、と思ってから30年近くが経っていました。

 

人によっては、簡単にそんな思いも叶えることが出来る人もいるでしょう。

私は30年もかかってしまいましたが

長い間、その気持ちを持ち続けるということで

心がずっと温かい状態でいられた気もします。

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イギリス湖水地方

ツアーではなく、あくまでも本の舞台に行くという個人旅行。

ロンドンからの列車は途中で乗り換えもありましたが

スムーズにことは運び、思い描いていた湖畔に立つことが出来た感動は

言葉では言い表せません。

長いこと、ずっと待ちわびた日が現実になったのですから。

 

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(湖水地方へ向かうケンブリッジ行きの列車が出るユーストン駅 ※フィルムの写真なので画像が粗いです)
 

実はこどもの頃に「アーサー・ランサム」を読んだ人は

高い確率で何度もイギリスの湖水地方を訪れるのだそうです。

 

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(物語の舞台の一つ、ウインダミア湖 前面に見えるお屋敷みたいなのは

2泊したオールドイングランドホテルです。)

 

アーサー・ランサムには熱狂的なファンが世界中にいて

日本でもファンクラブがあり

ランサム愛好家のことは『ランサマイト』と呼ばれています。

 

私もランサマイトの一人ではありますが

ランサマイト共通の悩みが、あまりこの本が知られていないことです。

学校の図書室にも、自治体の図書館にも必ず置いてあり

良質な本にもかかわらず、どうして、こんなに知名度が低いのでしょうか。

 

ランサムの本を読んだ人は、その影響を受けて大人になり

環境問題に取り組んだり、アウトドア関連の仕事に就いたり

趣味で帆船を乗り廻したりと、自分の人生でランサムの世界を

活かす人も多いと聞きます。

 

それだけ強い影響力を持つ本なのに、今まで私が出会った人の中で

この本を知っている人は一人もいませんでした。

読んでくれたのは、中学時代に仲が良かった友人と娘だけです。

 

※児童書は子どもの本でもありますが

   だからといって大人が楽しめないことはありません。

   親子で楽しめる本も多いと思います

 

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

今日の記事を読んで、「私(僕)、ランサムの本、読んだことがあるよ」

そういう方が現れてくださることを、密かに期待しています。

 

 

 

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