私が今までやってきた仕事のなかで、一番長く続いたのが
ある会社の営業事務の仕事です。
一応子育ても一段落していたので、
正社員として12~13年働いていました。
その会社で、私の後輩として入ってきた20代のMちゃん。
始めは年齢差があることもあり
いかにも今どきの若い子という印象が拭えませんでした。
マイペースで、どちらかというと周りに気を使わないタイプ
仕事はそれなりに出来るようにはなったものの
時々ミスが発覚し、私がその尻拭いをするはめになることも!
始めは「もう~、何とかして」という気持ちでしたが
あっけらかんとしているわりには
さりげなく影で私の仕事を助けてくれるようになり
いつの間にか、可愛く思えるような存在に変化していきました。
ただ口癖なのか、時々声に出す「まあ、いいか」という言葉。
仕事中に、そんなセリフを言われると
「は!まあ、いいか?仕事をなんだと思ってるの?」
という気持ちになってしまいます。
そんないい加減な気持ちで仕事をして欲しくない
そう考える私は、どちらかというと完璧主義で
物事はキッチリしないと気が済まない性格でした。
それはそれで、自分の首を締めていたのかもしれませんが。
本来ならば、Mちゃんを指導する立場だったので
注意することも出来たのでしょうけど
なぜか、「まあ、いいか」を言う彼女に対して
苦笑いしながら「又、そんなこと言って!」と軽くあしらうことしか
出来ないのが、自分でも歯がゆい思いでした。
結局のところ、その後数年間、一緒に仕事はしたのですが
思いがけない「おめでた」を理由に彼女は退職となりました。
それからしばらくして、あることがきっかけで彼女の口癖だった
「まあ、いいか」の言葉を思い出すことになりました。
以前の記事でも書いたのですが
定年まで働こうと思っていたその会社に
降って湧いたような「M&A」の合併話が持ち上がり
精神的にかなり追い込まれるような状態になったからです。
「まあ、いいか」あれほど良い印象がなかった言葉だったのに
その言葉を言うと、自分の気持ちが楽になる気がしたのです。
そんなに頑張らなくてもいいよ、そう言われたような・・・
なるようにしかならないし、自然の流れに身をまかせようと
素直に受け止められる気持ちになりました。
そして今更でしたが、Mちゃんは自分で自分を楽にするために
その言葉を言ってたんじゃないか、と思えてきたのです。
あっけらかんとしているように見えて
実はいろんなことを気にしていたのかもしれません。
気にしている自分がいやで「まあ、いいか」そう言うことで
無意識のうちに、自分を追い込まないようにしていたのかも。
ごめんね、もっと早く気付いてあげれば良かったのに・・・
私は自分の仕事のしかたが正しいと思い込んでいて
そういう気遣いまでは出来ていなかった気がします。
時々私を笑わせようと
飼っていたハムスターの真似をしてくれたMちゃん。
その滑稽な様子がツボに入り、私が思わず笑ってしまうと
嬉しそうに何度もやってくれていました。
本当はとっても私に気を遣ってくれてたんだろうな。
それから「まあ、いいか」の言葉は
「いい加減」な言葉ではなく
「良い加減」の言葉になって
張り詰めた気分のときの「癒やし」の言葉になりました。
無理をする必要がないとき、少し心を落ち着けたいとき
「~しなければならない」という思いから解放されるために
敢えてつぶやくのです。
もちろん、責任感もなく途中で放り出してしまうような
そんな意味では使いませんけどね。